三位一体型製本プレス機『トリニティ』

現在は片手でも扱いやすい黒い取っ手を採用しています。供給不安定な部品の為再変更の可能性があります。

☆これ1つでプレス機、ブッククランプ(バッキングプレス)、糸かがり台として使えます。

製本プレス機、糸かがり台、ブッククランプ、それぞれかなり高額です。
しかも3台別々に置くならスペースも必要です。
趣味で製本をする方にとっては、なかなか厳しいでしょう。
画家で、絵本作家でもある鈴木果澄さんから御依頼を受けて、プロ向けの本気の物を作って思ったのです。
これは一体化できるぞ、と。
もちろん一体化してしまうと、同時作業には適さなくなります。
ゆっくり作業する趣味製本向けとなりますが、圧倒的に安く、場所を取らない逸品を作ることができました。

☆製本プレス機として使う

普通に縦置きすれば製本プレス機として使えます。
加圧性能は、約500キロになります。
通常の製本作業であれば十分すぎる加圧が可能です。

プレス可能なサイズは、A4サイズまでとなります。

若干の余裕はありますが、最小限に抑えることで、省スペース化と、材料の無駄を削減して価格を抑えています。

A5サイズなら横に2列。

濡れているもの、接着剤などを使用したものは、必ず締め板を挟んで、木に直接触れることは避けたほうが良いです。

(写真は旧モデル)

☆ブッククランプ、バッキングプレスとして使う

横置きにすれば、ブッククランプとして使用できます。
バッケ板で挟み込めば、背表紙を丸めたり、糊付けするためのバッキングプレスになります。
(バッケ板は当工房では製作しておりません)
挟める幅は、やはり長辺A4サイズまでとなります。

ぐらつきを最小限に抑えるように、腕の位置も個体ごとに調整しています。

また、この状態で板同士の上部がぴったり揃うように計算して作っています。

新型機では柱の位置を変更し、より小さな本を挟みやすくなりました。

☆糸かがり台として使う

トリニティ最大の特徴は、この機能です。

糸かがり台単品でも何万円もするものを、組み込んでしまいました。

また、糸留め具を独自設計し、木製でシンプルなものにすることで、更なる低価格化を実現しています。

限られたスペース内に糸かがり機を組み込むために、試作を重ね、最も使い易い形を導き出しました。

留め具は、考えるのに本当に苦労しましたが、非常に良いものができたと思います。

新型機では、柱の位置変更により横から楽に手を入れて作業できるようになりました。

糸かがり機としての使い方は、下のボタンから紹介ページに記載しています。

☆木部は硬いナラ木の集成材

ナラの集成材は原価が高いですが、強度、杢目の美しさ、香り、耐久性、耐水性など様々な要素から総合的にみて採用しました。
例えばパラゴム材(天然ゴムの絞り粕)など半額程度の材もあるのですが、全てにおいてナラ材に劣る、それを自慢の道具として長く使えるでしょうか?
ベニヤ板など安っぽすぎるので論外です。
使い手の自慢になる道具作りを目指しています。
ナラの集成材は、一部ウィスキー樽を製造する過程で出る端材を使って作られます。
ウィスキーは、液体ですので、導管が均一に縦方向(いわゆる柾目材)に流れていないと水漏れします。
それ故にウィスキー樽製造においては良い部分のみ使用し、多くの端材が出ていたのですが、近年の木材集成技術の向上で高品質な集成材を製造することが可能となり、限られた木材資源を有効活用できるようになりました。
特に香りは素晴らしいので、箱を開けた瞬間に驚くかもしれません。

仕様

サイズ

幅約43センチ×高さ約41センチ×奥行約27センチ

重さ

約9キロ

素材 ナラ集成材
プレスサイズ

A4(210ミリ×297ミリ)、最大開口高135ミリ

加圧性能 200kg

☆お手入れ等(必ず読んでください。)

トリニティには、柱部分の滑りを良くする為のパラフィン蝋が付属しています。

出荷時の調整の為に最低限は擦り付けてあります。

本機は、前後左右のガタつき、傾きを抑えるために安定して動くギリギリまで板を柱に寄せています。

木は、摩擦力が高いため、少し板が傾いたりして角に圧がかかると、そこで引っかかってしまう場合があります。

ですので、到着しましたらご使用前に必ずパラフィン蝋を柱の前後と外側の全体にしっかりと擦り付けてください。

塗装は、柱部分に付いた蝋を紙ヤスリで除去してから行ってください。

 

なお、トリニティは、出荷時点(塗装プラン未選択時)では、完全未塗装です。

水気を含むワークを扱う場合は、耐水性を上げるオイル塗装などをかけた方がよいかと思います。

特に油性ニスなどの塗膜を作る塗料の場合、確実に体積が増えますので、柱が挟まってしまい動きが硬くなる可能性があります。

その場合は、塗膜分を紙やすりで削り、調整してください。

 

プレス機械(金属パーツ)は、金属同士が擦れ合うためグリスが切れると摩耗してしまいます。

ですので必ず、グリスでメンテナンスをお願いいたします。

ボルト全体と、ボルトと金具の繋がってる2箇所に少し塗布して上下させて馴染ませればOKです。

スプレータイプのウレアグリスを使用すると耐久性も高く、やりやすいと思います。

多少飛び散りますので紙などでカバーしながら吹いて下さい。

赤く示してあるボルトと接続部に十分にグリスを塗ります。

特に加圧する時にボルトとナットが直接強く擦れるあたりにはご使用前に必ず塗布してください。

ナットが摩耗しきってしまうとボルト全体の交換修理となってしまいます。

下の白いものがパラフィン蝋です。

赤く着色した部分に蝋を塗りつけてください。

動きが悪いと感じたら塗るようにしてください。

パラフィン蝋は、普通のロウソクの成分ですので、無くなってしまったらロウソクを塗りつけてもらえば大丈夫です。

一部のオスモカラーのようなカルナバワックス(=木蝋)含有のオイル塗装でもパラフィン蝋と同じ効果がらあります。

オイル塗装は、簡単で仕上がりも綺麗で、使い込むほど風合いも出て良い事尽くめですが、塗装に際して注意点がありますので、ハンドプレス機の塗装を説明しているページを参考にしてください。

☆いただいた感想

販売数が少ないので、レビューも少ないのですが、メールでご感想をいただきましたので、許可をいただきまして掲載いたしました。

※意匠登録申請中

背表紙木型ロメラの紹介

背表紙を作るときに、均一に厚紙を曲げることで美しいアールをつけた背表紙を作ることができます。

日本国内では、一般向けに販売しているのは極めて珍しいと思います。

欲しい方も極めて少ないと思いますが、ワンランク上の背表紙製作には必須だそうです。

画像クリックで、紹介ページにリンクします。

締め板も販売中です。

一般的な締め板は、MDFボードを切ったものがよく販売されていますが、これは、接着剤にくっつきやすく、水に非常に弱い性質があります。

そこで、耐水性があり、堅く、接着材がくっつきにくく、そして安価な材料で「塩化ビニル」を適度なサイズに切り出した締め板を販売中です。

ヤフーショッピングにて販売していますので、併せてご検討ください。