オイルでの塗装は、木材の耐水性や耐久性、さらには触り心地も向上させることができます。
年月が経てばもちろん劣化はしますが、少しヤスリを当てて再塗装を重ねることで、良い風合いが増していくのが特徴です。
ただ、良質な自然塗料は高価ですし、やはり慣れない作業は、うまくできるかわからないでしょう。
また、取り付けられているパーツは極めて固く締めこまれているので、手で外すのはかなり大変です。
最も注意したいのは天然オイルは、扱い方を間違えると自然発火する可能性があるということです。
そのデメリットやリスクをなるべく減らそうという考えで、塗装代行を始めることにしました。
自然塗料の最大手、オスモカラーの製品で最も強度のあるフロア用を使用します。
まず、全体に少し荒めのサンドペーパーで磨き、凹凸を消し、表面を少し荒らす事で、塗料をしみ込みやすくします。
一度目は、木目や導管に刷り込むようにたっぷり塗り込んでいきます。
乾燥したら細かめのサンドペーパーで磨き、二度目を塗っていきます。
二度塗りすることで、毛羽立ちはほとんど感じられなくなり、美しい光沢が得られます。
ちなみにオスモカラーの価格は、「ウッドワックス」が0.75ml缶で、約6000円。
「フロアクリアー」が0.75ml缶で、約7000円です。
めちゃくちゃ高いんです。
しかも0.75ml缶が最小サイズという不親切仕様です。
開缶してから使わないで置いておくと劣化して固まってしまいますのでほとんど使わない方には、かなり不経済です。
なお、ある程度組んだ状態で塗装しますので、例えばクオイオの刃物入れと腕パーツのくっついている面など、隠れている部分に関しては、塗装いたしません。
また、切断時の焦げた跡などは、少し磨いたくらいでは、簡単に消えないので残る場合があります。
塗装前、一番左だけ無塗装です。
水をかけます。
3分後にふき取りましたが、無塗装のところだけ大きく水が沁みた跡が残りました。
樹種によって、あるいは同じ樹種でも個体によって、色やしみ込み方が違うので、同じ色でも感じが変わります。
サンプルとして、ケヤキとナラを塗装した写真と、使われている道具を記載します。
左から、無塗装、クリア、ホワイト、ウォルナット、です。
ケヤキは、芯材と辺材の色の差が大きく、芯材は赤みが強く詰まっているため色が付きにくい傾向にあります。(ホワイトが顕著に出ています)
目が複雑だったり逆目のところは濃く、滑らかな所は薄くなるので、ウォルナットなど暗い色で塗ると特に癖が出て、良く言えばアンティーク調という感じ、悪く言えば古ぼったく感じるかもしれません。
ケヤキを使用している道具は、
「クオイオ」「クオイオPro」「フェッタ」
になります。
左から、無塗装、クリア、ホワイト、ウォルナット、です。
ナラ材は、全体的に白っぽく、導管が太いため、色が乗りやすく導管の部分がやや濃く線状に現れます。
ナラは木目が比較的素直で逆目が出にくいのと、全体的に色が乗りにくいので、どの色でも素直な仕上がりになります。
小口面が粗めなので、板面との濃さの差が出やすいです。
ナラを使用している道具は、
「トリニティ」「マノ・グランデ」「ルチデッツァ」
になります。
道具名 | 金額 |
ハンドプレス機クオイオ |
3500円 |
ハンドプレス機クオイオPro | 3500円 |
コバ磨き機ルチデッツァ | 準備中 |
革漉き機フェッタ | 準備中 |
製本プレス機トリニティ(本体のみ) |
5000円 |
ステッチングクランプ マノ・グランデ |
3500円 |
ウレタン塗装のようにガチガチの塗膜を作るわけではありませんので、使っているうちに少しずつ摩耗していきます。
ですので、やはり何年かに一度程度の定期的なメンテナンスは、した方が良いです。
自然発火するといっても簡単に燃えるわけではなくて、塗った後の布をかなり適当な始末をすると、ある条件下で燃えるというものなので、使い方をしっかり守ればそれほど気にする必要もありません。(容器保存していれば絶対に燃えません)
塗り方と注意点は、クオイオを塗装して説明しているページをご参照ください。
定期的に、軽くヤスリがけしてオスモフロアクリアー(他のオイル系塗料でも大丈夫です)で塗装することで、いつまでも綺麗な木目を保ちつつ良い風合いになっていきます。
メンテセットとして少量販売できれば良いのですが、PL法があってメーカーに怒られてしまうのでちょっと難しそうです。
ご注文いただいてから組み立てて、更に塗装までしますので、当たり前ですがかなり長くなります。
塗装にかかる期間は、乾燥時間が気温や湿度などの条件によって大きく変動しますので明言できません。
乾燥が甘い状態で、二度目を塗ると不完全な仕上がりになるため、特に一度目はしっかり乾燥させます。
必ず仕上げの二度塗りしますので、本体の製作日数+製作夏季ですと5~14日くらい、冬季ですと10~20日くらいかかるものと思ってください。
どう急いでも乾燥は早くできませんので、催促のご連絡はご遠慮ください。