本製品は、写真1枚目の本体のみの販売となります。
日常的なメンテナンスは、本ページをよく読み必ず行って下さい。
革包丁の砥ぎ角は9~18°くらいなのですが、そこまで鋭角だと、ほぼ寝かせた状態を維持しなければならない為、砥ぎに慣れていない初心者が刃先を正確に作るのは、まず無理です。
鑿や鉋に慣れている私でも、薄くて砥ぎにくいので、正確に砥げてるのか砥げていないのかよくわからないという感じでした。
革包丁専用の研ぎガイドは、世界的に見てもあまり普及しておらず、世界中のインターネットを探し回りましたがあっても不満の残る物ばかりでした。
そこで、クラフトノラオリジナルで全ての不満点を解消したパーフェクトに近いものを作ることにしました。
「ロブスト」はイタリア語で頑丈という意味の通りの性能です。
その名の通り他の追随を許さない頑丈さを誇ります。
以前のモデルや他社現行品の不満点を全て解消するべく、全金属部品をステンレス製にすることはまず設定した最低条件でした。
全ての部品にサビに強いSUS304を使用し、砥ぐという水を使う作業における機能性を大幅に向上させました。
また、ステンレスはサビに強いだけでなく曲がりにも強く耐摩耗性も良好なので、適切なメンテナンスをしていれば一生使うことができます。
プレート板厚は3ミリ、ローラー径は8ミリと、強度面でかなりの余裕を持たせた設計になっています。
ステンレス加工で静岡では有名な山崎製作所に部品の製造を依頼しているため、驚異的な高精度です。
イグリデュール軸受けは、無給油でも使用可能な高性能樹脂軸受けです。
その中でもステンレスとの相性が良く、吸水性が低く、摩擦係数の低いタイプを使用しています。
ローラーを後ろ側に動かすことで超鋭角の砥ぎ角度を作れます。
更にローラーの上の隙間を見てください。
高精度の加工により、ここまでギリギリに下げています。
これ以上刃の下のスペースを削るには、プレートやローラーサイズを削ることになり金属の強度的に好ましくない為、ほぼ限界の角度になっています。
砥ぎ角度を低くできるからなんだという話ですが、刃先角度そのものは9度程度が限度です。
しかし、鋭角を砥ぐときでも治具の取り付け位置を刃先側に寄せられる=砥ぎシロが大きくなるというメリットになるのです。
写真は具体的な例で、柄から刃先まで約75ミリの厚さ2ミリの革包丁の場合、限界まで寄せると約50ミリの余裕があります。
この条件で10度の刃先を作る場合、治具から刃先までの出は31.1ミリとなります。
つまり、砥ぎシロは約19ミリとなります。
ローラーが当たらないように柄を少し削れば更に下がれるので砥ぎシロが増えます。
どんな革包丁でも10度(条件次第ではそれ以下も)まで難なく砥げるガイドは、他にないと思います。
某樹脂製のガイドの場合、厚さ2ミリで10度の場合出は58.2ミリですので15ミリ程度の本体幅だった場合、砥ぎシロはほぼなくなりますし、柄がある革包丁ではそれ以上どうやっても下がれません。
この構造でないと不可能ですから、これにそっくりなものでない限りはそうなります。
セットできる刃の幅は、真っすぐの物で“48ミリ”です。
幅と刃先角度次第では斜めにセットも可能です。
刃厚1.5 | 刃厚2 | 刃厚2.2(カルタブル) | 刃厚2.5 | 刃厚3 | |
9度 | 32.6 | 35.2 | 36.4 | 38.4 | 40.9 |
10度 |
28.8 |
31.1 | 32.2 | 34 | 36.3 |
11度 |
25.7 |
27.8 | 28.8 | 30.4 | 32.5 |
12度 | 23.1 | 25 | 26 | 27.4 | 29.3 |
13度 | 20.9 | 22.7 | 23.6 | 24.9 | 26.7 |
14度 | 19 | 20.7 | 21.5 | 22.7 | 24.4 |
15度 | 17.4 | 18.9 | 19.7 | 20.9 | 22.4 |
16度 | 16△ | 17.4 | 18.1 | 19.2 | 20.7 |
17度 | 14.7× | 16.1△ | 16.8 | 17.8 | 19.2 |
表の単位はミリです。
刃の出が16ミリ以下はプレート下部が砥石に接触してしまうため使用できません。
刃の下にプラ板などを挟んで厚さを足すことで、表中で×の条件でも砥げるようになります。
漉き用が10〜12度、裁ち用が15〜17度くらいです。
ちなみに革漉き機フェッタに採用しているやたら切れる超鋭角カッター刃は、シノギ面の角度は8度で、先端のみほんの僅かに革砥で仕上げたように二段研ぎになっていますので、快適な漉き作業には10~12度程度が必要ですが、あまりに薄いと刃持ちが悪かったり、砥ぎあげるのが難しくなります。
刃の素材が高硬度であるほど薄くできますが、欠けやすくなりますし、研いだ時に出るカエリを研ぎ切るのが難しく仕上げる難易度が上がります。(柔らかい鋼では仕上がりません)
所有する革包丁の状態を見ながらバランスのよい角度を見つけてください。
まずは漉き用であれば12度で試すのが良いかと思います。
革包丁では、薄く砥いでおいて革砥をあてて刃先を仕上げる砥ぎ方が非常に有効です。
少し切れ味が落ちてきたら革砥で再研磨して復活させていけばそのまましばらく砥石で研ぐ必要はありません。
裁ち用はそれほどシビアではありませんので16度あたりから調整するのが良いでしょう。
定規にガイド本体を当てて刃を出す量を調整します。
刃先側を指で押さえて固定してからガイドを固定するとやりやすいです。
左右均等に蝶ナットを締めて下さい。
動かなければ良いのでプレートが曲がるほど締める必要はありません。
革砥を準備します。
ミシンオイル(マシンオイルでもOK)を革に付けて、青棒を擦り付けます。
青棒は油に溶けますので、馴染ませるように溶かしつけてください。
刃先角度を鋭角側に大きく変える時は、最初にダイヤモンド砥石で角度が付くまで削る事をお勧めします。
角度が付いたら、通常の砥石で研ぎ上げていきます。
刃のオモテ面(シノギ面)が砥げたら、ガイドから外してひっくり返してウラ面も砥ぎます。
砥石で仕上げた後に、革砥で刃先を整えます。
ここはガイド無しで大丈夫です。
柄を持って手前に引くように、砥石で研ぐ時とは逆に動かします。
まずはシノギ面を革砥にピッタリとつけて軽く押さえ、10回手前に引きます。
裏も先端の方だけピッタリとくっつけて10回引きます。
カエリが残るようなら5回ずつ同じ作業を繰り返します。
先端のカエリが綺麗になくなり、刃先が整えば完了です。
使う前に軸部に必ず注油して下さい。
ミシンオイルやマシンオイルなどの青棒を溶かすのに使用しているオイルでOKです。
これだけでも軸や軸受けへのダメージはほとんど進行しません。
ただし、使用中に軸と軸受の間に砥石の粉や鉄粉が入り込んだ場合は、これによってダメージが進行する可能性は高いので清掃を行なって下さい。
大した手間ではないので毎回やってもらえればそれに越した事はありません。
軸を清掃する場合は、ペンチで挟んで反時計回りに回して外してください。
なるべく外側の方を掴むようにすると、回転部分が傷付きません。
細くしたティッシュなどで軸受け内を綺麗に拭いてください。
軸の方も綺麗に拭いて下さい。
軸を取り付けるときは、ローラー部を手前にしたときに右側に長い方の軸が付きます。
毎回同じように戻してください。
ペンチで挟み、動かなくなるまで回して締めてください。
全力で締める必要はありません。
以下は軸と軸受けの交換方法です。
日常のメンテナンスができていれば相当期間必要無いかと思います。
交換部品は、別途販売しています。
樹脂軸受けをラジオペンチを使って引き抜きます。
新しい軸受けを外側から差し込みます。
かなりきつい寸法ですので、テーブルなどに押し付けるようにしてほんのわずかに内側に出るくらいまで差し込みます。
ローラーを入れて軸を取り付けます。
長い軸がローラーを手前にしたときの右側です。
軸はペンチで挟んで、動かなくなるまで回してください。
最後に、左右の隙間が大きいようであれば、ペンチの横側などを使用して軸受けを押し込んで、左右均等になるように調整してください。
軸受けがローラーに接触することでステンレス同士が接触しない状態が望ましいです。
耐久テストは、実際に何十時間も砥げないので、負荷をかけて回転し続ける機械を製作して代替としています。
砥ぐときに指で刃物先端を軽く押さえた時の負荷として500グラムの重りを付けた状態で、1日1回マシンオイルを軸受けに注油して10時間回すことを繰り返し、現時点で合計300時間のテストを行いました。
この条件下では目立ったダメージはなく、軸精度にもほぼ影響はありませんでした。
これとは別に、実際に砥石での使用を15分程度で20回行っています。
この状況でも、軸に汚れが入らなければ全く影響はありませんでした。
使用しているイグリデュール軸受けの仕様からして、この程度ではほぼ影響が出ないのは想定通りです。
しかし砥石や鉄粉が軸に入るとそれが軸を研磨してしまい、ダメージは避けられませんので、その点は特に注意してご使用ください。