オイル塗装のやり方

☆オイル塗装とは

オイル塗装とは、酸化することで固まる油(乾性油)の性質を利用した古くからある塗装方法です。

亜麻仁油やヒマワリ油などが乾性油で、オリーブオイルなどは不乾性油です。

油だけでも表面保護効果はありますが、ワックス類や顔料や溶剤などを混ぜることで、より扱いやすく、より高い保護効果を持ち、より綺麗に仕上がるように調整されたものが販売されている塗料となります。

特徴としては厚い塗膜を作らないので、木の質感を生かした仕上がりと、木そのままの感触を残すことができます。

また、気を付けるところを守れば比較的塗りやすく、DIYでも良好な仕上がりを得やすいです。

木材は油脂や水分を吸い込みやすく無塗装だとカビが生える場合もあるので、早い段階で塗装をしてあげれば変な汚れを予防することができます。

 

なおクラフトノラで販売している小分けパックは本来床板塗装用の塗料なので、硬いカルナバワックス入りで非常に高い保護効果を持っています。

☆塗り方の前に最重要な注意点

オイル塗料で最も気を付けなければいけないのは、自然発火することがある点です。

塗料が酸化して硬化していくと、化学反応により発熱します。

塗装面や十分に空気に触れているところは放熱されますから発火するほど温度は上がりません。

しかし、塗装時に使用したウエス(ふき取り布)や刷毛を袋などに入れて密閉空間に放置すると、逃げ場のない熱がこもってさらに反応を促進してしまい最終的には発火します。

これを確実に防ぐために使用後のウエスや刷毛は必ず、風通しの良く可燃物が近くにない屋外に放置して危険のないところまで硬化させてしまうか、水を入れた袋に入れてから処分してください。

工務店時代に本当に出火させてボヤを起こした塗装屋がいましたので過剰な心配ではなく本当に燃えます。

たかが塗装のために火災になれば大変なことになりますので、この点は注意に注意を重ねて塗装にあたってください。

☆オイル塗装に必要な道具と環境

必要な道具は「紙やすり」、「小さい刷毛」、「ふき取り用ウエス」、「ゴム手袋」、「床に敷くもの」です。

 

必要な塗装環境は公式には、気温が5度以上、湿度が70%以下となっています。

ただし、温度は高ければ高いほど、湿度は低ければ低いほど硬化が早まります。

要するに酸化反応には温度が必要で、水分は塗料が酸素と触れるのを邪魔して反応を阻害するということです。

実感として夏暑くても高湿度下では1週間ほどかかることがあります。

逆に冬寒い時期だと湿度は低いですが、10日以上かかることもあります。

クラフトノラの塗装環境で最も硬化が早いのは、冬に薪ストーブを焚いて30度近い室温と40%以下の湿度になっているときで、1~2日で硬化します。

普通は薪ストーブはないと思うので、どの時期でもエアコンを使って温度湿度を管理してください。

塗ってから1日の初期乾燥が最も重要です。

初期乾燥に失敗すると乾燥まで非常に長くなることがあります。

☆塗装方法

まず塗装する場所を汚さないように新聞紙などで養生してください。

油性塗料のようなシンナー臭はしませんが匂いはありますので適度に換気をしながら作業してください。

 

塗るものを紙やすり(320番)で研磨します。

クラフトノラ製品は最初からほぼ仕上がってますので、木口周りの逆目や気になるところを削る程度でも大丈夫です。

研磨し終わったらウエスで乾拭きして粉を完全に落としてください。

オイル塗料は保管中にオイルとワックスに分離しますので、使用前に必ず混ぜ合わせてください。

クラフトノラで販売している塗料パックの場合は、袋を開ける前に袋の上から1分ほどよく揉んで混ぜ合わせてください。

袋を開けてから刷毛でさらに混ぜると確実です。

ゴム手袋をつけて刷毛で塗装していきます。

あとで拭き上げますので塗りムラは問題ありません。

ですから刷毛も100均の格安品でいいです。

ただし塗り残しは跡が残るので無いようにしてください。

こすり付けるようにある程度薄く塗り伸ばしていかないと塗料の使用量が多すぎて二回塗れなくなるかもしれません。

染み込んだ塗料は急速に硬化し、厚く残ったところの硬化は非常に遅れますので、厚塗りは厳禁です。

全体が塗れたらウエス(布やペーパータオルなど)でふき取っていきます。

某メーカー公式だとふき取らないとなっていますが、それはふき取らなくて良いほど薄塗り出来ている場合のことであって、ふき取らないと塗りムラで効果不良をおこしたり見た目が悪くなって失敗することがあります。

DIYオイル塗装の失敗の多くは厚塗りが原因です。

木に染み込まずに浮いている塗料は全てふき取ってください。

これは一回目の塗装なので多少の拭きむらは大丈夫です。

一回目の塗装が終わったら、塗料パック内の空気をなるべく抜いてチャックをしっかり閉めてください。

使用済みウエスは完全に濡れるくらい水を入れた袋に入れてすぐに廃棄、刷毛は水を入れた紙コップなどで次の塗装まで保管してください。

新聞紙などは多少塗料がついた程度であればそのまま広げておけば1日で安全なレベルに硬化します。

エアコンで温度湿度を管理して塗料を硬化させてください。

特に塗装初日はなるべくよい環境を維持して一気に硬化させたほうが良いです。

なるべく高い温度、なるべく低い湿度です。

また底面などは狭くて通気が悪いため、箱などで少し浮かせてやると良いです。

完全に湿り気がなくなったら二回目の塗装に入ります。

急いで未硬化でヤスリをかけても湿り気があると削れないので綺麗に仕上がりません。

紙やすりで全体を隈なく軽く触る程度で、一回目の塗装が剥げないように研磨します。

木は塗料などで濡れると毛羽立つ性質があります。

塗料が毛羽立ちに染み込んだまま硬化しますので塗装一回だと必ずザラつきます。

固まった毛羽立ちを削って触っても感じない程度まで研いでから二回目の塗装を行うことで滑らかな塗装面になります。

研磨が終わったらウエスで粉を完全にふき取ってください。

塗装前に水から出した刷毛をペーパータオルなどで完全に水気をとってください。

濡れていると効果不良の原因になるので二本目を使ってもよいです。

二回目の塗装も一回目と同じ要領です。

ウエスでの拭き上げ時に拭きあとが残るとそのまま硬化しますので、木目に沿ってまっすぐに拭き上げるようにすると拭きあとが目立ちません。

同じ要領で三回目の塗装を行うともう少し滑らかになるかと思います。

四回目以降はほとんど違いはわかりません。

 

塗装が終わったらウエスと刷毛は水を入れた袋に入れて廃棄してください。

二回目もエアコンで温度湿度を管理してください。

触ってべたつきがなくなれば使える状態になりますが、完全硬化までは1か月ほどかかります。

 

クラフトノラで販売している塗料は艶消しクリアなので硬化すると塗りたてのツヤ感はほぼ消えてマットな仕上がりになり、色は元の色を少し濃くした感じになります。

 

良く触れるところは剥げてくることもあるので、数年おきにメンテナンス塗装をしてあげれば、汚れることなく良い風合いに成長していきます。

クラフトノラで販売中の塗料パック30mlでの塗装面積は0.36平米を2回塗れる量となります。

通常2回塗れば触り心地は良く汚れも防げる状態になりますのでクラフトノラの塗装プランでも2回を標準としています。

木材や塗り方によって増減しますが、クラフトノラ製品に塗った場合の余裕をもって塗れる回数は以下となります。

クオイオpro・・・2回

クオイオsimple・・・3回

クオイオdoppio・・・3回

フェッタ・・・4回

イルトロ・・・2回

ファーボ・・・2回

マノグランデ・・・2回

トリニティ・・・1回(2つ必要です)