砥石の使い方


砥石の基本的な使い方です。
砥ぐものによって適する治具や砥石の要求平面精度は変わります。

①刃物を砥ぐ

刃に欠けなどが無ければ、中砥石から砥ぎ始めます。

#800〜2000くらいです。
写真のものは「シャプトン刃の黒幕#1000」です。
ほとんどの砥石は、砥ぐ前に水に漬けて水を吸わせる必要がありますが、シャプトンは、その必要はありませんので、砥石に直接水をかけます。

刃物をそれぞれの砥ぎ角度で砥石に当てて、前後させます。
よく勘違いされている方がいるのですが、刃物を引くときに砥ぐのではなく押すときに砥ぎます。
写真の青い線が引く時で、この時は力を入れません。
赤い線が押す時で、この時に適度に力を入れます。
治具で動ける範囲は、なるべく均等にまんべんなく動かすようにして、砥石が偏って減るのを軽減します。
ある程度砥いだら砥石を180度回転させて、また同じように砥ぎます。
これは、片方だけ減ってしまうのを防ぐ為に行います。
だいたい同じ回数砥ぐようにすれば片減りが軽減します。
刃先に裏から軽く触れると金属が反り返っているのがわかるはずです。
これが、刃先全体から出るようになったら中砥石は終わりです。
細かい砥石に移る前に荒い砥石の粒子を持ち込まないように水で泥をしっかり落とします。

砥石の泥は、砥いだカスではありますが、同時に研磨剤でもあります。

これが、砥石表面から崩れ落ち、金属と砥石に挟まれ金属を削り、砕けて、さらに滑らかに削ります。
ですので、砥石についた泥は必要以上に落とさなくて良いです。
塊になって山になっているところだけ落としましょう。

このまま仕上げに移っても良いのですが、あまり粒度に差があると仕上げ砥石でなかなか仕上がらず苦労しますので、金銭的に余裕があれば、#2000を挟んでもいいです。

無くても問題ないです。

仕上げは、#4000以上で、行います。

上手く砥げていれば、砥いだ面全体が鏡面になっているはずです。

最後に、刃の裏に出たカエリをとります。
刃先から1〜2㎝程仕上げ砥石に乗せて真横に10回ほど砥ぎます。
これで刃物に刃がついたはずです。

②砥石の平面出し

砥石は磨り減りながら金属を削ります。

それが砥ぐということです。
1、2回砥いだくらいでは、目でわかるほど磨り減りませんが、十数回砥ぐとさすがに減ってきて、砥ぎに支障を来しますので、砥石表面を平面に戻します。
本格的にやるならば砥石修正台(シャプトンなおる等)ですが、かなり高価なので、簡易的には、ダイヤモンド砥石か砥石修正用の修正砥石で大丈夫です。
今回は、古いダイヤモンド砥石で行いますが、修正砥石の購入をお勧めします。
ダイヤモンド砥石は錆びやすいため、濡らしたらよく拭いてから乾かして下さい。
水をたくさんつけて(流しながらでも良い)なるべくダイヤモンド砥石の中に砥石が収まるように小刻みに動かします。

かなり砥げてきました。
白い部分が砥げているところ。
真ん中の黒っぽいところが砥ぎ残りです。
もう少し頑張ります。

このくらいまで削れば十分です。


ちなみにダイヤモンド砥石は、硬いと言っても、砥石と擦れることで、だんだん滑らかになってしまいますので、古い物を使うとか、割り切って使うとか、いっそ砥石直しや修正砥石を買うとか、いずれは考える必要があります。